ここ最近は、企業の成長戦略の一環として、M&A(合併・買収)は重要な手段となっています。
M&Aコンサルタントは、企業が適切な買収先や統合戦略を見極め、交渉やデューデリジェンスを円滑に進めるための専門的なアドバイスを提供します。
本記事では、M&Aコンサルタントの仕事内容、M&Aを依頼するきっかけ、メリット・デメリット、費用の相場、そして選び方のポイントについて詳しく解説します。
M&Aコンサルタントとは(仕事内容)
M&Aコンサルタントは、企業の合併や買収に関する戦略策定から交渉、デューデリジェンス、契約締結、そして統合後のシナジー創出まで、幅広いプロセスを支援する専門家です。
企業の経営陣と連携しながら、買収候補の評価、リスク分析、資金調達のアドバイス、法務・税務のサポートなどを行い、円滑なM&Aプロジェクトの遂行をサポートします。
実務経験に基づいた具体的な提案により、取引条件の最適化や統合後の組織改革を推進する役割を担っています。
M&Aコンサルティングを依頼する5つのきっかけ

M&Aコンサルティングを依頼する5つのきっかけを解説します。
1. 事業成長のための事業再編を検討している
市場環境の変化や競争激化により、既存事業の再編や成長戦略としてM&Aが有効な手段となります。
自社の成長戦略に合致する買収先を探すことや、非中核事業の売却による資源の再配分を検討している場合、M&Aコンサルタントの専門知識が大いに役立ちます。
適切なパートナーシップを築くことで、事業再編の成功率を高め、持続的な成長を実現するきっかけとなります。
2. シナジー効果を追求するために統合を検討している
企業間の合併や買収により、技術、マーケティング、人材などのリソースを統合することで、シナジー効果を生み出すことが可能です。
自社単独では実現できなかった規模の経済や効率性向上、ブランド強化を目指す際に、M&Aコンサルタントは統合プロセスの計画立案や実行支援を行い、相乗効果の最大化をサポートします。
3. 新規市場への参入や事業領域の拡大を図りたい
M&Aは、既存の事業領域に留まらず、新たな市場や事業分野に迅速に進出するための効果的な手段です。
市場調査から適切な買収候補の選定、交渉までを一括して支援することで、リスクを低減しながらスムーズな市場参入を実現できます。
特に、海外展開や新規事業の立ち上げにおいては、M&Aコンサルタントの経験とネットワークが大きな強みとなります。
4. 経営資源の最適化とリスク分散を図りたい
経営資源の効率的な配分やリスク分散のため、非中核事業の売却や買収によるポートフォリオの最適化が求められる場合があります。
M&Aコンサルタントは、各事業の評価や市場価値の算出、リスク分析を通じ、企業の資源を最も効果的に活用するための戦略を提案します。
これにより、経営の安定性と将来的な成長可能性を高めるサポートを行います。
5. 経営再建や事業承継を円滑に進めたい
経営再建や事業承継の場面では、企業価値の適正な評価と円滑な事業移行が重要です。
M&Aコンサルタントは、後継者問題や経営資産の適正評価、買い手候補の探索と交渉を通じて、経営再建や事業承継のプロセスを円滑に進めるためのサポートを提供します。
これにより、企業の存続と発展を支えるための重要な手段となります。
企業がM&Aコンサルティングを依頼する5つのメリット



企業がM&Aコンサルティングを依頼する5つのメリットを解説します。
1. 専門的な戦略立案とアドバイス
M&Aコンサルタントは、豊富な経験と専門知識に基づき、企業の成長戦略や事業再編のための最適なM&Aプランを策定します。
具体的な市場分析、デューデリジェンス、買収候補の評価を通じて、リスクを最小限に抑えながら、最大のシナジー効果を引き出すための戦略的アドバイスを提供します。
これにより、企業は自信を持ってM&Aプロジェクトに臨むことができ、将来の成長に向けた確固たる基盤を築くことが可能となります。
2. 迅速かつ効率的なデューデリジェンスの実施
M&Aプロジェクトにおいては、買収候補の詳細な調査(デューデリジェンス)が極めて重要です。
専門のコンサルタントは、財務、法務、税務など各方面の専門家と連携し、効率的かつ徹底的な調査を実施します。
これにより、潜在的なリスクや隠れた価値を正確に把握することができ、最適な交渉条件を引き出すための強力な交渉材料となります。
3. 交渉力の強化と最適条件の確保
M&A取引は、交渉の結果が企業価値に直結するため、高い交渉力が求められます。
M&Aコンサルタントは、交渉戦略の策定から実際の交渉プロセスまで、専門的なサポートを提供します。
豊富な実績に基づくアドバイスにより、買収条件や統合計画など、企業にとって最適な条件を確保することができ、取引全体の成功率を高めます。
4. 統合後のシナジー創出支援
M&Aは、単なる買収にとどまらず、統合後にどれだけシナジーを生み出せるかが重要なポイントです。
M&Aコンサルタントは、統合プロセスの計画策定から実行まで、具体的な支援を行い、買収後の組織統合や業務プロセスの再編を効果的に進めます。
これにより、期待された相乗効果を最大限に引き出し、企業全体の価値向上に貢献します。
5. リスク管理と法務・税務サポートの充実
M&Aは、多くのリスクや法務・税務上の複雑な問題が伴います。
M&Aコンサルタントは、各分野の専門家と連携しながら、リスク評価と適切な対策の立案、契約内容の精査など、総合的なサポートを提供します。
これにより、企業は安心して取引を進めることができ、予期せぬリスクやトラブルを未然に防ぐことが可能となります。
M&Aコンサルティングを依頼するデメリットや依頼しない方が良い人



M&Aコンサルティングを依頼するデメリットや依頼しない方が良い人を解説します。
1. 高額なコストがかかる
M&Aコンサルティングは、その高度な専門性と実績に裏打ちされたサービスを提供するため、フィーや関連費用が高額になる傾向があります。
特に小規模企業にとっては、初期投資や継続的なサポート費用が経営を圧迫するリスクがあるため、費用対効果を慎重に検討する必要があります。
場合によっては、内製化や部分的な外部支援とのバランスを考えることも重要です。
2. 短期的な成果が見えにくい
M&Aプロジェクトは、交渉や統合プロセスが長期にわたることが多く、短期間で劇的な成果を得るのは難しい場合があります。
取引が完了してから統合効果が現れるまでには時間がかかるため、短期的な業績改善を求める企業には不向きな側面があります。長期的な視点で取り組む姿勢が必要です。
3. 内部調整と組織改革の必要性
M&Aは、外部の取引だけでなく、統合後の内部組織改革やシステム統合が不可欠です。
これらのプロセスには、社内の従業員との調整や文化の融合が求められ、しばしば抵抗や混乱が生じるリスクがあります。
十分な内部準備と、M&A後の統合計画がなければ、期待したシナジー効果を得られず、結果として失敗に終わる可能性があります。
4. 外部依存による自社ノウハウの低下
M&Aコンサルタントに全面的に依存すると、外部の専門家の力に頼りすぎて、自社内でのM&A実務や統合管理のノウハウが蓄積されにくくなるリスクがあります。
長期的には、外部支援がなくても自社で迅速に対応できる体制を築くことが求められるため、内部の人材育成とのバランスが重要となります。
5. 企業文化や事業モデルとのミスマッチ
M&Aは、取引先企業との統合だけでなく、自社の企業文化や事業モデルとの適合性も重要な要素です。
外部のM&Aコンサルタントが提案する戦略が、自社の実情に合致しない場合、統合後に摩擦や混乱が生じ、期待された成果が得られないリスクがあります。
事前に十分な内部検証と調整ができる企業でなければ、無理なM&Aは逆効果となる可能性があります。
M&Aコンサルティング依頼の費用の相場
M&Aコンサルティングの費用は、取引規模や案件の複雑さ、コンサルタントの実績により大きく変動します。
一般的には、プロジェクト単位での契約で数百万円から数千万円に及ぶケースが多く、特に大規模なM&Aの場合、数千万円以上の費用がかかることもあります。
さらに、成功報酬型の契約や、日単位での契約で1日あたり数十万円から100万円程度の料金設定がされる場合もあります。複数社の見積もりを比較し、費用対効果を十分に検討することが重要です。
M&Aコンサルタントの選び方5選



M&Aコンサルタントの選び方をご紹介します。
1. 豊富な実績と成功事例の確認
M&Aコンサルタントを選定する際は、過去のプロジェクト実績や成功事例を詳細に確認することが不可欠です。
自社と同様の業界や規模でどのような成果を上げたか、具体的な数字や改善効果が示されているかをチェックし、信頼性の高いパートナーを選びましょう。
2. 業界知識と専門分野の深さ
M&Aは、業界特有の市場環境や事業構造を理解することが重要です。
候補となるコンサルタントが、金融、法務、税務など多岐にわたる専門知識を有しているか、また自社の業界に精通しているかを評価し、最適な戦略を提案できるかどうかを確認しましょう。
3. 交渉力とコミュニケーション能力
M&Aプロジェクトでは、交渉や関係者との調整が重要な要素となります。
コンサルタントの交渉力や、経営陣との円滑なコミュニケーション能力が高いかどうかを重視し、問題発生時にも迅速に対応できるパートナーを選ぶことが成功の鍵となります。
4. 提案内容の具体性と戦略性
候補のコンサルタントが、どのような戦略でM&Aを推進するのか、具体的な実行計画やリスク管理策を明確に提示しているかをチェックしましょう。
具体性の高い提案は、プロジェクトの成功率を高め、企業が安心して取引を進めるための判断材料となります。
5. 口コミ・評価・リファレンスの活用
実際にそのコンサルタントを利用した企業の口コミや評価、リファレンス情報は、サービスの質を客観的に判断する上で非常に重要です。
第三者の意見や実績を基に、コンサルタントの対応力や提案内容の実現性を評価し、信頼性の高いパートナーを選定するための情報源として活用しましょう。
まとめ
M&Aコンサルタントは、企業が戦略的な成長や事業再編、リスク分散を実現するための強力なパートナーです。
一方で、費用負担や内部調整、短期成果の難しさといったデメリットも存在するため、十分な検討と信頼できるパートナー選びが成功の鍵となります。
今回ご紹介した各ポイントを参考に、自社のニーズに最適なM&Aコンサルタントを選定し、持続的な成長と競争力向上を目指してください。
ちなみに、ウチは現在M&Aの支援を行っておりませんが、会社の出口戦略を「売却」に定めて、事業の価値を高めるお手伝いはさせていただいた経験はあります。
おおよそ業界にもよりますが、『営業利益の3-7倍』が売却益になることが多いため、仮に営業利益で3,000万を出せれば、事業によっては9,000万円が。さらに将来性やのれんなども評価された場合、2億1,000万前後に落ち着いていきます。
買い手側の目線と売り手側の目線は、全く「真逆」です。
だからこそ、両手取りの仲介の人が出てくると、相手からもこちらからも手数料を早くもらいたいが故に、ほどほどのところに落ち着かせようと指南してくる人もいます。
ただ、こだわるところはしっかりとこだわってこなければ、楽勝に8-9桁単位で変わっていく世界ですので、M&Aを検討している方はくれぐれも気を付けて行ってください。